2019/11/05 22:31
そもそも「ニーズ」ってなんだろう?
ここでいうニーズとは、NVC(非暴力コミュニケーション)に出てくる言葉で、ビジネス等で使われるニーズという言葉とは少し意味が異なります。ここで表しているニーズとは、「愛」「つながり」「信頼」「美しさ」「自由」など、人間にとって生きる上で必要な普遍的な価値(エネルギーの源泉)のようなものを意味しています。そして、自分にとって今この瞬間に大切にしている「ニーズ」が満たされた時にはポジティブな感情が湧き、満たされていない時にはネガティブな感情が湧くという風な見方をするのがNVCの特徴です。
人はいつだって、自分のニーズを満たしながら生きている
例えば、ある日のお昼に私はお腹が空いていました。そして、ご飯を作って食べる時、私は「食べ物」というニーズを満たしています。そしてご飯の後に眠くなり寝てしまった時、私は「休息」のニーズを満たしているかもしれません。さらに、起きたら元気になり、友達に電話をかけます。この時の私は「つながり」や「刺激」のニーズを満たしているかもしれません。こんな風に、毎日どんな瞬間も、私たちは自分にとって大切なもの(ニーズ)を満たしながら、生きています。
誰かとぶつかるときは、大抵ニーズを満たす「手段」が異なるとき
しかし、私たちはひとりで生きているわけではなく、いつも誰かとの「関係性」の中で生きています。家族、恋人、友達、職場の同僚、上司など、様々なつながりの中で生きている時、全ての人のニーズを同時に満たすことは難しくなります。また、ニーズが同じだとしてもそこに向かう道のり(手段)が異なるために、ぶつかっていることも少なくありません。
例えば、「つながり」というニーズを満たすために「毎日電話をしたい」を求める彼女と、「つながり」というニーズを満たすために「週に一回直接会って話をしたい」彼氏がいる時を浮かべてみてください。満たそうとしている心の奥にある願いは同じなのに、手段が異なるためにきっとぶつかってしまうこともあると思います。そしてぶつかった時に、「自分は大事にされていないんだ」と思ってしまったり。そんな経験お持ちの方は少なくないのではないでしょうか。
ニーズに意識を向けることで、理解が深まり、解決策が見つかることもある
そんな時に、「毎日電話したい」「週に一回会って話をしたい」の奥にある願いに耳を傾けてみると、手段は違えど、ふたりともから「つながりを大事にしたい」という願いが聴こえてきます。そこにつながれたとき、「私たちの大事にしているものは同じなんだね」と理解が深まります。そして、「じゃあどうやってお互いの「つながり」というニーズを満たすために、お互いにとってより良い手段を見つけ出していけるだろうか?」といった、新たな手段を見つけるための対話が生まれる可能性が高まります。
続きが気になる人はNVCの本を読んでみてくださいね!
もっと、NVCについて、ニーズについて書きたいことはあるのですが、続きはぜひ、NVCの本を読んでみてくださいね。コミュニケーションに悩んでいたり、大切な人との関係性をより良くしたいと願う人には、おすすめしたい本です。
「NVCニーズカード」でできるワークを一部ご紹介します!
それでは、そんなNVCを実践する上で役立つニーズカードの使い方の代表的な例をご紹介します。3人〜できるワークなのでぜひやってみてくださいね。
エンパシーサークル(共感サークル)
①3〜5人組をつくり、カードを真ん中に並べる
②1人目の話し手が数分、感情の動いた出来事を話す
③そのお話を聞いていた人が、話し手のニーズを推測してカードを渡す
※ゆっくり1枚ずつ「〜さんが求めていたのは〇〇(ニーズ)だったのかなあ?」と問いかけながら丁寧に渡していく
④話し手が自分自身でもニーズカードを探してみる
⑤話し手が特に大切にしていたニーズ、3つ程に自身で絞ってみる
⑥その3つのニーズを心の中で感じながら1分ほど静かな時間を過ごす(自己共感)
⑦交代して次の話し手へと移る
(3人でワークをした場合の所要時間:45分〜60分程度)
また、エンパシーサークルだけでなく、もちろん自分自身でのおひとりでの内省やパートナーやご夫婦など、大切な方との対話の際にもニーズカードは役に立ちます。ぜひ、「感情カードで自分や大切な人の感情を探してみて、その奥にあった満たしたいニーズに耳を傾ける」ということを日常生活の中で取り入れてみてくださいね!
★ニーズカードのご購入はこちら!
★感情カードのご購入はこちら!
〈参考〉
「イラスト付きニーズカード」は以下のサイトのニーズリストを参考に、畑中みどりが言葉の表現を自分なりにアレンジしたり、色を付け加えることで制作いたしました。また、NVC(Non Violent Communication)の実践で使っていただくことをイメージして元々制作いたしました。
●NVC JAPAN ニーズリスト
http://nvc-japan.net/material/feelings_needs_list/
上記のリストは、マーシャル・ローゼンバーグのオリジナルリストを元に、大勢の協力により作られました。
©️2006 Inbal Kashtan and Miki Kashtan, BayNVC, nvc@baynvc.org, www.baynvc.org
訳:小笠原春野 改訂:安納献ほか
●NVC とは?
NVCとは互いを大切する関係性を創り出すための対話法で、マーシャル・ローゼンバーグ博士によってい提唱されました。日本語では「非暴力コミュニケーション」「共感コミュニケーション」と呼ばれ、広まっています。
http://nvc-japan.net/